過去はブラックホールみたいなもの、考えてばかりいたら飲み込まれていく、だから前を向いていがないといけない。
久しぶりに映画館で観たいと思った作品を観てきたので感想を書いてみる。
主要キャスト
ブルムクヴィスト(スベリル・グラドソン)
image:IMDb
今作ではただのおじさんに終始していました。世の中こんなもんよ、女性同士のトラブルなんかに首を突っ込むもんじゃない。ある意味世渡り上手なのかな?
カミラ(シルヴィア・フークス)
image:IMDb
赤の衣装はどことなくシンドラーのリストを彷彿とさせます。全体的に色調の暗いこの映画では非常に目立つ存在です。
『ブレードランナー2049』や『鑑定士と顔のない依頼人』に出演。
ストーリー
オープ二ング
これはフィンチャーの香りがプンプンする良映像でした。最初から見どころです。(ある意味フィンチャーらしさはここしか感じませんでしたが…)
天才暗号学者バルデルは世界の核兵器へのアクセスプログラムを生み出すことに成功しますがアメリカ国家安全保障局にそのプログラムの管理権を奪われてしまったのです。
バルデルは己の生み出したプログラムの破壊を望み、その奪還をリスベットへ託します。
リスベットはハッキングによりプログラムの奪取に成功しますが、そこに謎の組織スパイダーズが強襲してプログラムを強奪されてしまいます。
そのスパイダーズのドンはなんと生き別れになっていたリスベットの双子の妹カミラだったのです。
姉妹喧嘩の最終舞台は2人が幼少期を過ごした家。さまざまな伏線を回収しながら物語は終結に向かいます。
感想
他のレビュー記事でも見かけましたがサランデル姉妹が幼少を過ごした家が出てきた瞬間に頭をよぎったのは007のスカイフォールの映像です。
映画のヒーローやヒロインには華やかな表の顔の裏には暗い過去あり。リスベット出生の秘密もここで少し明かされます。
冒頭のセリフは今回の重要なプログラムのパスワードを解く鍵となっているプログラム作成者バルデルの息子アウグストくんのセリフ。小さな子供にこの言葉を託した意図はあるのでしょうか?
壮絶なストーリーの傍で父親は撃ち殺され、政府機関には狙われるわ、悪の組織には誘拐されるわでこの子のトラウマったらない、将来が心配でなりません。
もう一人の主役であるはずのブルムクヴィストについては今作ではほぼ見どころなしで完全なる脇役。なんだかさえないおじさんで終わってしまいました。
派手にドンチャンしているリスベットととの対比であればこれはこれですごくメリハリがきいていました。
リスベットの活躍シーンでは愛車ドゥカティのバイクもカッコよく、(車種がわかりませんが、誰か教えて)氷上を爆走するシーンはこの映画のハイライトの一つでしょう。
途中から無理やりスーパーカーの黒塗りランボルギーニが出てきて違和感ありありなんですが、リスベットにはやっぱりバイクが似合います。
リスベットについて
クレア・フォイ
三代目リスベット・サランデル(スケバンみたいや)の感想ですが、
表情はいいんだけどなぁ…
前任のルーニー・マーラがハマりすぎた反動か、少し肉付きが良いことがリスベットらしくないといえばらしくない感じ。
それを感じたのはガールフレンドとの戯れのシーン。パンイチで部屋をウロウロするシーンで美脚を披露しているのですが、革パンの時にはあまり意識しなかった足にどうしても目がいってしまって自分の中のリスベットと比較してコレジャナイ感が先にたってしまいました。
一言でいうと太い。誤解を恐れずに書きますが今作のクレア・フォイが太いのではなく前作ルーニー・マーラが細すぎるのです。そしてそのイメージか強烈だったので脳裏にこびりついていたのでしょう。
クレア・フォイファンにぶっ殺されそうなのでこの辺でやめにしておきますが、自分のなかのリスベットは色白細身で叩いたら折れてしまいそうな手足、身軽で雲のように消え、風のように動く、つまりハイテククノイチなわけです。今作のクレア・フォイはアクションバリバリ、肉弾戦もいとわないハイテクソルジャーというイメージでした。
あえて言おう
2代目リスベット=ジェームズ・ボンド
3代目リスベット=イーサン・ハント
どちらも凄腕のスパイなんですが、どうですかこの例え…わかりますか?
そして私の好みはジェームズ・ボンドなので前作ルーニーリスベットが好みなわけなのです。
これは個人の好みの問題なのでクレアリスベットの方が好みの人ももちろんいると思います。
そうです。好みの問題なだけでクレアリスベットもカッコいいのです!なので安心してスクリーンにリスベットの活躍を観に行ってほしいと思います。
女性キャラの代替わりは貴重です。ストーリーも前作のドラゴンタトゥーからも約7年もかかっていることを考えると次作ではまた新しいリスベットに変わる可能性の方が大きいでしょう、
フェデ・アルバデス監督について
今作でデヴィッド・フィンチャー は製作指揮にまわり、ウルグアイ出身のフェデ・アルバデスが監督を務めています。
『死霊のはらわた』や『ドントブリーズ』などのホラー畑で実績をあげ今回の『蜘蛛の巣を払う女』に抜擢された人です。
アセトアミノフェンを砕いて服用するあたりのシーンで独特のカメラ回しだなぁとホラー出身の姿が垣間見えたように思います。
ストーリー構成もアクションシーンもふんだんに詰め込まれ退屈する時間帯はほとんどありません。
観た後のフィンチャー特有のすっきりしない感も今作にはありません、ラストがハッピーかというとそうでもないのですが、ひとつの映画としてしっかりと完結しています。
最後に
『蜘蛛の巣を払う女』は売り出し中のクレア・フォイやアルバデス監督の活躍を堪能できるオススメ映画となっています。
事前準備として『ドラゴンタトゥーの女』(フィンチャー 版)だけでも観ておくことで、リスベットのキャラ設定がわかり、また女優の比較なんかができてさらに楽しめることは間違いありませんので是非前作を復習してから観てみてください。
最後までお読み頂きありがとうございます。
リスベットについてはこちらもオススメ。
https://www.miniyama.net/entry/2019/01/08/dragon-lisbeth
デヴィッド・フィンチャーについてはこちらもオススメ。
https://www.miniyama.net/entry/2018/11/27/fightclub-minimalism
https://www.miniyama.net/entry/2019/01/05/houseofcard
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